シルバーの文化が今も英国ではしっかりと守られ、常に新しいモノが作り続けられているのには理由があります。 昔からシルバーを”おもてなしの道具”として使う家がある事、”アート作品としてコレクション”する人がいる、という個人レベルのものもありますが、それ以外にもシルバーが使われる場所が沢山あるからです。 教会で使われる錫杖やキャンドルスタンド等の備品、メダルやトロフィー、記念品として贈られるゴブレットや花瓶などのオブジェに使われています。 ヨーロッパの教会の備品は昔からシルバーまたはシルバー鍍金のモノが使われています。価値として、長く使える素材として、捧げモノとしての要素が強いからかもしれません。映画「レ・ミゼラブル」でも教会から銀製品を盗むシーンがありましたが、小さな教会でもシルバーの製品をそろえています。日本のお寺で真鍮の道具が多々使われているのと同じ感じでしょうか。 それぞれのメーカーや個人は自由に制作することが出来ますが、制作したものを販売する場合、モノの価値を証明するためにやらなければいけない事があります。 その部分が日本と少し異なる部分と言えます。 英国にはAssay Officeという貴金属の品証分析をする場所があります。 ここでは、金銀細工師の商売を規制するため、品質をテストするためにロンドンでは13世紀頃からGoldsmiths' Companyによって運営されています。 15世紀になって職人が制作したものを持ち込んで品質検査とその証拠の印を押して欲しい、と要求した事からHallmarking という刻印が押されるようになりました。 現在Hallmarkingとは、製作者が申請したモノが、基準を満たした金属を使用しているか検査され、合格した場合、そのOfficeのマークと金属の種類のマーク、金属の成分のマーク、製作者のマーク、申請した年のマークがの押されます。 製作者のマークは”Sponsor’s Mark"と呼ばれ、申請して登録されたものを使うので、同じマークは2つとありません。 英国では10箇所在ったうちの4箇所(ロンドン、バーミンガム、シェフィールド、エディンバラ)のAssay Officeが現存していて、それぞれが違ったマークを持っています。 つまり、検査を受ける事により製作者はモノの価値を証明する事が出来、購入者はそのクオリティを安心して手にする事が出来ます。 厳密に言うと、シルバーは7.78g、金・プラチナは 1g、パラディウムは 0.5g以上のそれぞれの金属を使用していたら検査を受けてマークが無ければ販売する事が出来ません。 この基準があることにより、製作者は製品の価値を自身を持ってカスタマーに証明する事が出来、カスタマーは一つの財産として価値を保有する事が出来ます。 このマークを受けずに販売する事も出来ます。その場合、金属の名前、例えばシルバーやゴールド、と言って販売が出来ません。ホワイトメタルや合金として販売しなければなりません。 それだけ厳しい規定があるのと同時に製作者の権利が守られている、と思われます。 アンティークのシルバーウェアを見ると、隠れたところにこのようなスタンプを見つけられるので、誰がいつどの辺りで作ったか、素材が何かを判断する事が出来ます。 合金で無ければ、スプーンの裏側にも押してある場合があります。 合金の場合は違うタイプのスタンプが押されています。 そういうのを確認しながらアンティークの商品を見て回るのも、アンティークマーケットを回る楽しみの一つ、と言えます。 どこかで機会があったらぜひ、見てみてください。
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ただいま訳あって英国に来ています。 英国に来たら決まって訪れるのは、美術館や博物館。 常設展はほとんどが無料で見ることができます。 凄いのは、教科書でみられるような時代の有名な作品が間近で見れます。 そうしてみることになると、日本で人混みにまみれて“ちょっとだけしかみれない”事が少し悲しくなる事があります。 建物の大きさと所蔵品の量を考えると、致し方ないのかもしれません。 英国屈指の大きさを誇る、Victoria&Alvert Museumは地上5階、地下1階ので構成され、建物の中では英国の歴史から工芸・美術・インテリア・ファッションなどの常設展から、様々な企画展が常に行われています。 私が英国で学んだ事の中でも重要なのが、シルバー製品の歴史です。 ここでは、歴史的なものから現代作品まで様々な場所で使われていたモノを見る事ができます。 現在でも現役で使われているモノもあるシルバー製品。 時代と共に工芸の技術は変化していきますが、英国では公共機関でそのクオリティが守られています。 次回その辺りを詳しく書いてみます。
オーダーのアイテムを作るのが楽しいのは、同じ目的のものでもお客様によって込める想いが違うので、それを質問をしながらお聞きする事が出来るからです。 デザインのイメージが最初からある方もいれば、おまかせという方もいます。 ひときわワクワクと興味深いのは、エンゲージメントリングとマリッジリングのオーダー。 エンゲージメントリングは男性の想いの丈が詰まっているので、その想いがお相手に伝わるように、気を配ります。 女性の方からの注意点がある場合は、そこに再三注意を払います。 しかし、サプライズの場合は女性側の要望が見えないので、客観的にみた女性側からの意見もお出しします。 例えば、いつもつけててもらいたいと男性側が思っていても、立爪みたいに日常生活では使いにくいデザインの場合、その旨ご説明して使いやすいデザインをお薦めします。 また女性が着けたときにその方の指がリングとセットで素敵に見えるよう、手の大きさや雰囲気、指の細さや長さなどを考慮して最終的な形になります。 マリッジリングの場合は、お二人の共通の想いが形になるように、気をつけています。 見ている未来や共有したい想い、伝えたい想いや希望を形にするため、いくつかの質問をしていきます。 二人の関係はどんなか。 ・2つの物が1つになるイメージか ・2つの物が平行に並ぶイメージか 結婚したあと、二人が在りたい形は。 ・二人の間では ・外に向けては など。 質問をして話を詰めるのは、お二人の想いと、出来るだけ視点や価値観や視界を合わせるため。 見る場所や角度がずれると、景色が変わってしまって、見当違いなモノが出来てしまいます。 私が出来るだけ同じ景色を見れるように、確認しながら質問しています。 ありがたいことに、今のところ忍耐強くお付き合いしてくださる方々ばかりなので、助かっております。 一生に一度の事だから、妥協の無い、世界で一つのリングをご提供できるようにこれからも取り組めたらな、と思っています。 昨年の年末になる前、時間のある時にどうしてもやっておきたい、と思った”やりたいことリスト”作り。 結局新年最初に今年やりたいことをリストアップしました。 昨年一年今までの自分を振り返ったので、これからやっていきたい事、目指すところ、成し遂げたい事など、色々な方向から願望が沸き上がりました。 関連性があるものもあれば、突発的なモノもあります。 突発的なモノは、ただ今までやってなかっただけのもあって直ぐ出来そうでした。 逆に関連性があるものは順々にやっていく必要があるので、じっくり長期計画になりそうです。 今回リスト作りをやってみて良かったのは、自分の想いを視覚的に確認できたことです。 頭の中で思い描くことが多くても、いつも覚えてられてないので、肝心な時にやり残してたりチャンスを見送る時がありました。 これなら定期的に自分にリマインドしていけるので、記憶の定着率も良さそうです。 やりたい事とか夢は内緒で叶えたい方だったのですが、書くこと、口に出すことでこんなにも情報量というか道のりが違うんだ、と驚きました。 自分にたいしても外にたいしても、自分の想いをクリアにすることが大事なんだな、と実感しました。 まだクリスタルクリアになっていない部分も多分にあります。 しかしそこを磨くことで、きっとスピードスケーターが氷の上を滑るように、行動の加速度が上がるかもしれない。 だから自分の中をよく見て、想いをさらに磨いていきたいです。 24/366が過ぎましたが 、残り342日でどれだけ磨いていけるのか、楽しみです。 先日、築地を歩いていて面白い自販機を見つけました。 「だし職人」という名の自販機。 なぜだし?築地の(元)魚市場が近いから? 気になって調べたら、あちこちにあることが判明しました。 「だし」というと一番最初に思いつくのが、日本橋のにんべん。 ”日本橋だし場”という名前でお出汁薫る様々な軽食や商品を販売しています。 また”日本橋だし場 はなれ”では季節のお食事が楽しめます。 最初に戻りますが、今回気になった自販機は調べてみたら、関西方面のお店のものということがわかりました。 中には5種類の商品が入っていて、広島県呉市にある二反田醤油の”あごだし”、愛知県安城市の七福醸造のだし職人の白だし、福岡県福岡市のやまやのうまだし。 他にもすっぽんスープがあったのですが、これはどこのメーカーか特定できず。 なぜ自販機でだしを買うんだろう・・・という疑問が膨らんだのですが、よく見ると缶はそのまま飲めるらしいので、試しに購入してみました。 その日のお夕飯の汁物用にして見ましたが、非常に濃くがあり缶臭さも無く、一人分に丁度良い量でした。 コンソメスープやコーンポタージュが自販機で売っているのだから、あっても不思議ではないのですね。 他のだしの元も色々書いてあったので期待できそうです。 しかもレシピブックがそばに添えてあるのが、心憎い。
先日道草した晴海のオリンピック選手村方面を歩いたときには、何だか鰹節の薫りがする・・・と思ったら東京鰹節センターなるものを見つけて驚いた事を思い出しました。 築地が近いからか、以前有明方面の埋立地が整備されていなかった時は、漁業関係の倉庫や埠頭、国際展示場として使われていた場所。 まだまだ昔の名残が残る場所があるんだなと思いました。 「想いを相手がわかるように、言葉にして伝えたい」という思いから、思いを文字に起こす文章の講座を受講しました。 始めたのが11月16日。 2ヶ月がたとうとしています。 最近どうしてもあげられない日が続いておりましたが、言葉にし続ける事が前ほど苦にならなくなりました。 大事なポイントはいくつもありますが、文章の構成の仕方、”どんな事を伝えたいか”内容のリスト化、読み手が読んでいて理解しやすいか。 これらを特に、いつも内容を考えるときに意識しています。 伝えたい事って予めリスト化しておかないと、書くトピックスが偏ったり散漫になってしまったり書くことが安定しなくなるので必要です。 読み手を意識する事で、文章の内容の広がりや深さをどこまで開くか悩む事が少なくなります。 また個人的に意識しだしたのが、心が動いたものをストックする事。 写真や動画やメモでもいいので、ハッとしたら残しておく様にしています。 これはインスピレーションを得るのにも有効的ですし、自分の興味の対象を見ることも出来ます。 それでも最初なかなか出来なかったのが、自分の考えを深く掘り下げて出す事。 これでもか、と思って書いてみてもまだまだ足りなかったこともあり、 自分の間口を広げる事がいかに大変な事かわかりました。 でも自分を振り返って掘り下げる事で、今まで気がつかなかった事が見えてきて、足りなかった部分やと自分に足りないところがわかる。 それを補う事で、もう一歩表現できる事が増えました。 書いて指摘されて気がついて、考え直す。
それを繰り返していく事で、言葉で伝える手立てを学んできました。 まだまだ出来てないのが、毎日決まった時間に投稿する事。 どうしても時間内に終わらずに、後に後にとずれていきます。 そこを何とか改善したいところ。 けれど、最初に比べたら読める文章になったと言っていただけるようになったので、引き続き続けていきたいと思います。 今度は対面で想いを伝えられるようになりたいな、と思っています。 次回のPopupは3月なので、お時間あったら成果を観にいらして下さい。 先日ご紹介した「サイズを気にしなくていいアジャスタブルリング」。 沢山の方にお手に取っていただいているようで、今週はこもって追加納品分を制作しておりました。 以前の記事、今年の想いと共に手にして欲しいリングで詳しくご紹介しています。 サイズを気にしない、というのはフリーサイズ、というわけではありません。 基本のサイズがあっての前後のサイズとなります。 強度やデザインのバランスから、已む無しです。 私がアジャスタブル:調整可能リングにこだわるのは、自分の手が大きくて指も太かったから合うリングが無かったから。 それプラス、一般的に販売されている、フリーサイズリングのデザインが好きではなかった、ことも理由の一つです。 リングの内側がくっついてないので、ある程度広げたり、狭めたりが自分で出来るもの。
でもこの隙間が結構苦手で、隙間が開きすぎて指の肉に食い込んだり、服や何かを引っ掛けてしまったりという事がありました。 今では色々なデザインのものがあって、検索すれば沢山見つけられます。 そんな中でどんなものを作るか。 「特別」なリングというよりシンプル以上で華美でなく、指に”ある”ことが自然な存在。 マリッジリングのようなしばりはないけれど、その人に寄り添ってくれる存在になってくれるリングが理想です。 何気に着けるよりも、想いをもち続けるための素材の一つになれば。 プラス、シルバーのリングはつけっぱなしで使った頂くのが一番綺麗な状態を楽しめるので、いつも着けて頂きたい。 一つ一つ1から作るので、デザインをあわせていても幅とか形がサンプルと若干違う事もあるのです。 それもそのリングの特徴になるではないかな、と思う事もあります。 直接見ていただける方は選んでいただけるので、注文もお聞きしております。 機会があったら、観にいらしてください。 ギャラリーでの展示も終わり、ちょっと一心地がつきました。 久々に、帰りがけにちょっと寄り道をしました。 行った先はフレンチ系ベーカリー。 ガレット・デ・ロワがあるかどうか、見に行って来ました 日本に帰ってきて3年、ヨーロッパから”輸入”された行事が凄いスピードで日本の中に浸透してきているのに驚きます。 ハロウィン、クリスマス、なぜかブラックフライデー。 そしてエピファニー(Epiphanie= 公現祭)。 イエスキリストがお生まれになったクリスマス(12月25日)から、12日後(1月6日)に、東方の三博士がイエスキリストを礼拝し、救い主であると公現された日の事。 主にキリスト教でもカトリックが国教である国々でお祝いされています。 フランスでは、このお祭りではずせないのが、ガレット・デ・ロワというお菓子。 中にフェーブと呼ばれる陶器のおもちゃが入っていて、あたった人がその日、王様、女王様になれるそうです。 日本では誤飲を防ぐために、陶器のおもちゃの代わりにアーモンド粒が入っていたり、後から入れられるように外付けにしてあるところもあるようです。 残念ながら、英国はキリスト教でもカトリックではなかったので、このお祝いはポピュラーではなく、一般的にガレットは販売されてはいなかったように思います。 もしかしたら、フレンチ系のベーカリーにはあったのかもしれませんが、確認した事はありませんでした。 そんなことで、最近は(なぜか)クリスマス後から販売されるガレットを、1月6日以降に食べるのを楽しみにしていました。 先週はギャラリーの展示があったりで時間が無かったので、今日まで持ち越していたのです。 今回は、マロニエゲートにあるフレンチベーカリー「ビゴ」で購入。 すでにフェーブが中に入っているという事で、本日の運試し、やってみました。 結果は見事に引き当てました! 初女王様!、やはりうれしいものです♪ 今年は何か良いものを引き当てそうで、この先が楽しみです。 新春第一弾の展示を、銀座のギャラリー「のばな」で行いました。 お時間を作って来てくださった皆様、本当にありがとうございました。 お久しぶりにお会いする方や偶然お会いできた方、近況をお聞きしたりアイテムの説明をしたり、楽しい一時を過ごさせて頂きました。 観に来てくださった方たちと話しをしていて面白い、と言われたのが、どうやってその形になったのか、成り立ちをお話した時。 私は記憶に残った印象を、デザインのきっかけにする事が多いのです。 ハッとした現象や印象に残った風景を、見た時の印象そのまま再現できないか。 形よりもその動きにインパクトを受けた時は、その動きを再現できないか、というところから形を作り始めます。 例を一つ挙げると蝶のイヤカフ。 こちらは、地面か木の側面で水か蜜を飲むために、蝶が何羽も僅かに羽を揺らしながら群がっていた光景と大小沢山の蝶が温室の中で羽ばたいていた光景。 この二つの情報がミックスされて、「羽ばたく蝶が群がる」形になりました。 また以前にも書いたことのある「Fish Dance」は、流線型の魚が群れでシューっと、泳ぐ勢いというか流れを美しい、と思ってその流れを形にしたものでした。 正直、職人さんや金工作家さんのような特出した技巧は持っていないのですが、自分の表現できる可能性を思考錯誤しつつ、形作りしています。 また使う人のニーズに応じてパーツを組み合わせ、アイテムの長さなどを変えられるように、希望の長さにフィットしやすいようにカスタムしやすいデザインでありたい。 それは一人一人の個性も身体バランスも違うから、それを尊重したモノになったらいいな、と思います。 そういうことをお客様と話しながら作ることも、これから機会を設けたいところです。 色々な事を試せば試すほど、やってみたい事、試してみたい事が増えていく。 今年も沢山の経験を積められてら、と思います。 新しい年になったら"行う"習慣、何かありますか? 私は"新しいものを使い始める" 時、新年から、にする事があります。 12月に購入した物は大体新年から使い始め、一年間使った鞄やお財布も入れ換えたりします。 そうすると、心機一転とした清々しい気持ちになるからです。 あと、新しいジュエリーを加えることもあります。 こんな一年にしたい、という抱負を載せたモノ。 昨年は【STYLE STORE】 にて色々な"想い"を込めたピンキーリングを販売して頂きました。 そして今年は、サイズをピンキーリングから他の指にも使えるサイズに変更して販売して頂いています。 サイズは12号ですが、サイズを前後で調整してご試用して頂けるようなアジャスタブルリングです。 女性の体質として、むくみがあります。 1日の中でも、朝と夜とでは指のサイズが1サイズ変わるくらいです。 出来るだけ長く快適に使え、今年の"想い"を込められるリングを、と思ってデザインしました。 それぞれのリングに込めた想い、あなたはどれに共感されますか? |